トップページ > 出生から死亡までの戸籍について
相続手続きでは、相続人を確定するために戸籍が必要になります。
ただ、相続人を確定するには、被相続人(亡くなった方)の死亡の記載がある戸籍だけでは足りず、「出生から死亡までの戸籍(※)」を提出しなくてはなりません。
手続き先によっては、「婚姻から死亡までの戸籍」で可能なところもありますが少数です。原則、出生から死亡までの戸籍が必要だとお考えください。
おそらく、ここで多くの方は、次のような疑問を感じるのではないでしょうか。
相続人を確定するには、まずはじめに、被相続人に第一順位の相続人(子)がいるのか? 「子」がいるなら何人いるのかを、戸籍で証明する必要があります。
戸籍には、氏名や生年月日、親子や夫婦関係、結婚、離婚、死亡したことなど、人が出まれてから亡くなるまでのさまざまな身分関係が記録されています。ひとつの戸籍にすべての記録が書かれているように感じますが、実はそうとは限りません。
結婚や転籍、法改正などで新しく戸籍が作られたときに、それまで戸籍に記載があった方や、一部の身分関係(離婚や認知など)の記載が消えてしまいます。
例えば、被相続人に「子」がいて、結婚して被相続人の戸籍から抜けたとします。その後、転籍や法改正などで新しく戸籍が作られてしまうと、新しい戸籍には「子」の記載がなくなってしまい、「子」を確認するには、転籍前や法改正前の古い戸籍が必要になるのです。
また、被相続人に「認知した子」がいた場合、新しい戸籍に「認知」の記載は残りませんので、古い戸籍を取って内容を確認しなければなりません。
つまり、相続人全員を確認するには、被相続人が死亡したことが書いてある戸籍だけではなく、生まれた時までさかのぼって、戸籍を揃える必要があるのです。
文章だけでは、なかなか伝わらないかもしれませんので、まずは下の図をご覧ください。
上の図は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍の動きを表したものです。
生まれた時の戸籍(1通目)、法改正後の戸籍(2通目)、結婚後の戸籍(3通目)、転籍後の戸籍(4通目)、法改正後の戸籍(5通目)、つまり、「出生から死亡までの戸籍」は全部で5通になったことを表しています。
「出生から死亡までの戸籍」のイメージはつかめましたでしょうか。イメージがつかめましたら、次は戸籍のサンプルを使って、より具体的にご説明します。
ここでは、鈴木幸雄さんを被相続人として、鈴木幸雄さんの「出生から死亡までの戸籍」を、死亡の記載がある戸籍からさかのぼって順番に見ていきましょう。
被相続人の改製から死亡までの戸籍(1) | 被相続人の改製から死亡までの戸籍(2) |
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この戸籍からわかる情報は次のとおりです。
赤字で示した部分(いつからいつまでの記録が書かれた戸籍なのか、いつからいつまで在籍していたのか)が特に重要です。
なお、この戸籍で判明した相続人は妻の春子さんだけですが、戸籍の改製(平成22年8月3日)以前に戸籍を抜けた方は戸籍に記載されませんので、この戸籍だけで相続人を判断することはできません。
被相続人の転籍から改製までの戸籍(1) | 被相続人の転籍から改製までの戸籍(2) |
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この戸籍からわかる情報は次のとおりです。
この戸籍により、被相続人に子(直樹さん、由美さん)がいることが判明しました。ただ、お二人とも結婚して戸籍を抜けていますので、相続開始時に健在かどうかは不明です。相続人であることを確定するには、直樹さん、由美さんの現在戸籍(戸籍謄本、戸籍全部事項証明書)が必要になります。
被相続人の婚姻から転籍までの戸籍(1) | 被相続人の婚姻から転籍までの戸籍(2) |
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この戸籍からわかる情報は次のとおりです。
この戸籍サンプルでは文字が綺麗に表示されていますが、実際には、一部の戸籍を除き手書きで書かれています。
被相続人の改製から婚姻までの戸籍 | |
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この戸籍からわかる情報は次のとおりです。
被相続人の出生から改製までの戸籍(1) | 被相続人の出生から改製までの戸籍(2) |
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この戸籍からわかる情報は次のとおりです。
この様式より前の戸籍は、旧民法の家制度に基づき作られていました。戸籍の編成単位も現在とは異なり(現在は「夫婦単位」、旧民法は「家単位」)、戸籍に記載される方の人数も増え、読みにくくなりますので注意が必要です。
「出生から死亡までの戸籍」のイメージはつかめましたでしょうか。
今回例にあげたケースでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍は全部で5通と、比較的少なく済んだケースです(平均は7〜8通程度。転籍の回数が多い場合や離婚歴等がある場合、その分だけ必要な戸籍の通数は増えます)。
また、兄弟姉妹が相続人の場合や、代襲相続や数次相続が発生している場合は、被相続人の父母や亡くなった兄弟姉妹などの「出生から死亡までの戸籍」も必要になりますので、おおむね10〜20通程度、多い時は50通以上になる場合もあります。
戸籍の見方・読み方・取り方さえ覚えてしまえば、あとはその応用で何とか乗り切れると思いますが、通数が増えることで漏れが生じる可能性が高まりますのでご注意ください。
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戸籍の請求に関する皆様からよくいただくご質問をまとめました。皆様と同じお困りごとがあるかもしれませんので、ぜひご参照ください。